
つくるひとcafe作家さんインタビュー・Chitose*Ame
埋もれないこと。個性を出すこと。『 Chitose*Ame』さん
〜つくるひとcafe作家さんインタビュー〜
Chitose*Ameさん
リアルでありながらシンプルさを心がけたフェイクスイーツアクセサリーをネット販売、レンタルBOX、イベント出展と3軸で販売。
「美味しそう!」と会話のきっかけになるような作品作りを目指し、中でもロゴマークにもなっているたい焼きのアクセサリーは本物そっくり。
愛銃を2丁持つほどのサバゲー好き。
インタビュアー きっしー
つくば市在住のWEBライター。つくるひとcafeでたまにノマドワークをしてる人。
管理人からの依頼によりインタビュアーを努めさせていただくことに。
初めての目線から、つくるひとcafeの作家さんの魅力を探る。好きなものは猫とギター。
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きっしー:今日はよろしくお願いします。まずは簡単にChitose*Ameさんについて読者の方へ自己紹介お願いします。
Chitose*Ame:愛知県出身で結婚を機にいまの柏市に越してきました。もともとは保育士をしていて、その頃からものを作るのが好きでした。
きっしー:どうしてお店を始めようと思われたんでしょうか?
Chitose*Ame:愛知にいた頃からスイーツデコを趣味で作っていたんです。結婚して時間ができたこともあり、スイーツデコをちゃんと作れるようになって、デコが売れて実益も兼ねてくれたらうれしいなと。それが始めたきっかけです。
きっしー:そうなんですね。ところでなぜChitose*Ameという名前なんですか?
Chitose*Ame:ネット上では昔から「ちと」もしくは「ちとせ」と名乗っていて、そこから何かないかなと考えた結果、美味しそうだし名前もわかりやすいということで『Chitose*Ame』にしました。
ひらがなではなく英語表記にしたのは何となくカッコいいかなと。笑
きっしー:つくるひとcafeのレンタルBOX以外にも出店されているそうですね。
Chitose*Ame:minnneとCreemaというオンライン上のショッピングモールにも出店しています。楽天のハンドメイド版のようなイメージですかね。
きっしー:作品はヘアアクセサリーが多いですね。
Chitose*Ame:最初はマカロンのフェイクスイーツを作ってたんですよ。それを友達に見せていたら、「ヘアゴムとかがいいなー」って声をもらいました。
そこからヘアピンやヘアゴムを作り出しました。
きっしー:そこからどんどん発展していったんですか?
Chitose*Ame:アクセサリーのパーツをたくさん用意しておいて、お友達に声をかけてアクセサリーをつくるミニワークショップを開いたりして、それが楽しかったんです。
そこが今の活動のはじまりですね。
きっしー:食べ物のアクセサリー、とくにたい焼きが目立ちますね。なにか理由があるんですか?Chitose*Ameさんのロゴにもなってますし。
Chitose*Ame:最初はたい焼きではなくて、マカロンの作品から始めていて、柏神社の『手づくりての市』というイベントがあり、そこで初めて出店したんです。
ところが、まわりにもマカロンを作っている人がたくさんいて。
これはライバルが多すぎるし、独学で作っていたというのもあって作品のクオリティーも低かったですし、結局あまり売れなかったんです。
きっしー:(うなずき)
Chitose*Ame:どうしようかな?と、いろいろと模索をしてましたが、自分の一番好きなことをやるのが自分の魅力を引き出せるかなという考えにたどり着きました。
きっしー:(うなずき)
Chitose*Ame:そういえば、わたしは食べることが好きだなと。
まずはドーナツの作品を作ってみたりして試してたんですけど、たまたま手元にたい焼きのアクセサリーの型があったので、たい焼きのアクセサリーを作って出してみたらそれがすごく好評だったんです。
きっしー:そこからたい焼きメインになっていったんですね。
Chitose*Ame:隙間産業みたいな感じで、マカロンのようなみんなが出してるものだと、最初からやってる人のほうがどうしても有利だったりするんですよね。
だったら、自分はみんながやっていないものをやっていこうと思いました。
焦げ目もリアルで本当に食べられそう!
どうせやるなら売れて欲しい。どうしたら売れるのかなと色々考えたら、やっぱり人がやってないことをするのが一番と考えました。あと、たい焼きってコアなファンが絶対いるだろうなという予感もありました。
きっしー:コアなファンというとどういうことですか?
Chitose*Ame:フェイクスイーツの愛好家の方がいまして。
きっしー:そうなんですね。そういう愛好家の方がいらっしゃったのは知りませんでした。
Chitose*Ame:フェイクスイーツの中でも、マカロンって作りやすくて、最初につくる基本みたいなものなんです。
ホイップクリームでデコレーションするフェイクスイーツが流行ってた時期があったりしたけど、自分もまわりと同じようにマカロン作ってたら多くの作品の中に埋もれてしまう。
だからまわりとちがう本物っぽいたい焼きを作りたい、リアルなものを作りたいという気持ちが強かったです。
きっしー:なるほど、そこがお客さんにうけたんですね。
Chitose*Ame:たい焼きが評判よかったというか、みなさんに喜んでもらえました。だったら全部たい焼きにしてしまえと。ロゴもイベントで使うテーブルクロスもたい焼きにしました。
本物のたい焼きの型を使った釣れちゃったたい焼き釣り竿が看板です。
特徴があると覚えてもらえて、いまではたい焼きの店という感じになってます。笑
きっしー:たい焼き=Chitose*Ameさんみたいな。
Chitose*Ame:そうですね。
あとから同じようなものを作る方が出てきたとしても、一番最初の人だから覚えてもらえやすいんです。
きっしー:作品がリアルで本当に美味しそうに見えます。
Chitose*Ame:食べる方のお菓子をつくるのも好きなんですが、食品はどうしても廃棄がでてしまったり、店を出すにも資格が必要だったりで大変ですけど、アクセサリーだと腐ることもないし、在庫いっぱい抱えても小さいので場所にも困らない。わたしには丁度よかったんです。
きっしー:ネット販売だけじゃなくて、レンタルBOXも利用しようと思ったきっかけは何だったんですか?
Chitose*Ame:レンタルBOX自体は2年くらい利用させてもらってるのですが、ネットショップだけだと人の顔が見えないんですよね。
きっしー:なるほど。
Chitose*Ame:イベント出店すればお客さんの顔が分かるけど、そんなに頻繁には出られない。
そこでレンタルBOXというのがあるという話は聞いてはいたので、柏市内で探していたんですが、レンタルスペースと自分の作風が合わなかったり、レンタルスペース自体が潰れてしまっていたり。
そんな中、ここの場所と出会いました。自分と相性がよくて今も続いている感じです。
きっしー:レンタルBOXならではの魅力ってありますか?
Chitose*Ame:一体感ですかね。ネット通販だと個人でやっているから横の繋がりがほとんどないんですよ。
ここ(つくるひとcafe)に来ると、他の作家さんも頑張ってるなというのを直に感じられます。
あとは、「こんな感じのお客さんが買ってくれたよ。」とか「お子さんがどれにするか迷いながら買っていったよ。」というお客さんの特徴やその時の様子を教えてもらえるのはモチベーションになってます。
きっしー:つくるひとcafeは作家さんそれぞれの色があって面白いですよね。
Chitose*Ame:いろんなジャンルの作品があって、わたし自身も刺激をもらってます。
きっしー:他の作家さんの作品はやはり参考になるものですか?
Chitose*Ame:インスピレーションが湧いたり、いまはこういうのが流行っているんだなとか。
自分ひとりでやっていると流行りとか分からなかったりするので参考になります。
きっしー:ちなみにChitose*Ameさんの作品で一番人気はなんですか?
Chitose*Ame:これですかね。たい焼きのヘアゴム。腕につけても可愛いし、実際に使っても可愛いって。
ネットショップだと、これがダントツ人気です。
きっしー:ぱっと見だとたい焼きって気がつかないけど、よくみたらたい焼きっておもしろい。
Chitose*Ame:あとは、りんご飴も人気があります。フェイススイーツ好きの中でも、りんご飴って好きな方が多いみたいなんです。「りんご飴を探していたけど、ようやく気に入ったものがみつかった!」とお客さんから言っていただいたことがあってとても嬉しかったです。
きっしー:うれしいひとことですね。
Chitose*Ame:食べ物アクセサリーはいろんな方が作られてるんですけど、それぞれの個性があって、わたしの作るリアルな感じの作風が一定の方に刺さったみたいです。
きっしー:ほかにはどんな作風の作家さんがいらっしゃるんですか?
Chitose*Ame:わたしのように本物に近いリアルな作品を作る人もいれば、パールやビーズをつけてデフォルメした作風の方もいらっしゃいます。
わたしのは、あくまでも食べ物の素材の感じをそのままミニチュアにする作風です。
きっしー:小さいけどリアルに作られてます。
Chitose*Ame:ごちゃっと飾るのが好きじゃなくて、すっきりシンプルなデザインが好みです。
きっしー:そういえばツイッターで拝見したんですが、プラモデルの写真があってめっちゃ気になりました。
Chitose*Ame:笑。あれは田宮模型さんが出してるルーター(穴を開けたり削ったりする工作機械。)なんです。
きっしー:ぼくはミニ四駆で遊んだ世代ですけど、田宮模型の写真を見てなんか嬉しくなっちゃいました!
Chitose*Ame:ミニ四駆も子供の頃作ってました。笑
いかにシャーシを削って軽量化するか、軽量しすぎて失敗したり。
きっしー:子供の頃からなにかを作るのが好きだったんですか?
Chitose*Ame:父が工場勤務で、色んなものをつくっていて、家でもよくDIYをしていました。その影響が大きいと思います。父からものづくりの基本的なことを学べたんじゃないかな。
弟がいるんですが、弟はそういうのに一切興味なくて。笑
きっしー:お父さまの影響が大きいんですね。
Chitose*Ame:作ること全般が好きで、うちの夫のパソコンデスクをわたしが作っちゃったりとか。
思い立ったらすぐに取り掛かる性格で、でも計画性がなかったりして、設計図も描かずにつくりました。
きっしー:これはすごい!
Chitose*Ame:パソコンの本体の大きさに合わせて作りました。
写真の椅子は、わたしが作ったのではないんですけど。笑
きっしー:お部屋の雰囲気にも合ってる!
Chitose*Ame:DIYは結婚する前の一人暮らしのころからやっていて、家に電動ドリルとか道具は一通りあ りました。
結婚を機にウォーターサーバーを買ったんですけど、それに合う棚が見つからなくて、だったら買うよりも作ったほうが早いじゃんって、考えちゃうタイプです。
きっしー:話は変わりますが、アクセサリー作り以外はなにか活動をされていますか?
Chitose*Ame:歯医者さんの中の託児コーナーで保育士としても働いてます。いまはコロナの影響でお休み中です。
きっしー:そうなんですね。
Chitose*Ame:あとは、以前ネットショップの会社で働いていたことがあって、画像加工を覚えたり、友達のデザイナーさんにイラストレーターを教わったりしたことがあるので、デザインを趣味でやっています。その頃の経験がいまの活動に生きていますね。
きっしー:名刺のデザインとか、作品の写真とか綺麗に撮られてますね。
Chitose*Ame:その名刺も自分で作っています。保育士として働いてる歯医者では、院のパンフレットを作ったりしました。「あれ、わたし保育士として来てなかったっけ?」って。笑
きっしー:笑
Chitose*Ame:看板のデザインをお願いされたこともあります。デザインするのは楽しいですね。
それが褒めてもらえるとすごく嬉しい。
きっしー:やっぱり褒めてもらえると嬉しいですよね。
Chitose*Ame:わたしは飽き性って自覚があるんですけど、ハンドメイドが続けられるのは、お客さんが作品をすごく褒めてくれるので、それがこころの栄養になってます。
きっしー:そういえば今度、デザインフェスタに出られるそうですね?
Chitose*Ame:はい、出ます!来月(11月)の7、8日です。
※2020年11月7-8日(土日)
きっしー:ぼくデザインフェスタというイベントを知らなかったのですが、大きいイベントですよね?
Chitose*Ame:年に2回行われるイベントなんですけど、デザインをやってる人は出てみたいというか。わたしにとっては甲子園のような場所です。
きっしー:みなさんが憧れるイベントなんですね。
Chitose*Ame:東京ビッグサイトで行われます。優勝とか、審査はとくになく抽選で出展者が決まるんです。
ビッグサイトでハンドメイドのイベントは他にも行われているんですが、デザインフェスタの雰囲気がわたしにとても合っています。変わったものが好きなお客さんが多い印象ですね。
きっしー:デザインフェスタのYouTube動画みました!お祭りみたいな雰囲気で楽しみですね。
Chitose*Ame:もともとはデザインだけじゃなくて発表の場であったりして、ステージ上で2日間に渡って絵を描くパフォーマンスをする人もいたり、ミュージシャンの人も参加していたりと楽しいですよ!
きっしー:デザインフェスタへの出店で気をつけてることはありますか?
Chitose*Ame:テーブルクロスを揃えたりとか見た目の部分での店構え以外にも、決済方法も増やしたりして、お店としてちゃんとしたものにするようにしてます。
似たような商品を買うなら、しっかりしたお店が選ばれると思うので。あとは、イベント自体を楽しむ!
きっしー:では、そろそろ最後の質問にしようと思うのですが、これから作家さんをやってみたいという方に向けて何かメッセージがあればお願いします。
Chitose*Ame:埋もれないこと、個性を出すこと、かな。
きっしー:自分を出していくと。
Chitose*Ame:人の真似も大事です。だけど、人の真似ばかりじゃ1番にはなれない。1番になれなくてもいいんだけど、人と違うことも取り入れたほうがいいです。
きっしー:マカロンからたい焼きに変えたみたいにですね。
Chitose*Ame:ディープなニーズが絶対にあると思うので、そういうところを狙って、好きなことに何かプラスするというか。
さらに商売としてのアクセサリー作りを考えると、何か新しいことも加えたほうがいいです。
きっしー:(うなずき)
Chitose*Ame:あとはトライ&エラーですね。
同じものを作っていても、最初の1番目に比べたら100番目に作ったもののほうが質が向上してます。試しながら作っていって、自分の納得するものを作っていくと、自分もお客さんも満足度が上がるんじゃないかなと思います。
きっしー:ありがとうございました。
取材をおえて…
取材させていただいたChitose*Ameさん。ご自身がDIYされたご主人のためのパソコンデスクの写真を嬉しそうに見せてくださったのが印象的で、作ることをとても楽しまれているのが伝わってきました。
ぼくはふだんはつくるひとcafeをコワーキングとして利用させてもらっています。正直、ハンドメイドの世界はあまり知らなかったのですが、今回、取材の機会をいただけたことで、作品に対する作家さんの思いや熱意を初めて伺うことができました。
フェイクスイーツやデザインフェスタなどの新しい言葉、世界を知ることができ、ぼく自身の学びにもなりました。
ありがとうございました。
きっしー
minnne&Creema販売サイト:https://linktr.ee/chitoseame_z
Chitose*Ameさんツイッター:https://twitter.com/chitoseame_z
Chitose*Ameさんインスタグラム:https://www.instagram.com/chitoseame_z/
デザインフェスタ:https://designfesta.com/